南東北BNCT研究センター長

髙 井 良 尋 

Yoshihiro Takai M.D., Ph.D.

放射線治療の新時代・加速器ベースBNCT
難治性がんへの挑戦



 BNCT(ホウ素中性子捕捉療法)はホウ素薬剤と中性子との反応で生じる粒子線によってがん細胞一個一個を破壊することのできる画期的な新時代の放射線治療です。
 BNCTは従来、原子炉より得られる中性子を用いて行われておりましたが、原子炉は病院に設置することはできませんので、現在まで臨床医療として確立した治療法にはなっておりませんでした。
 近年、日本において加速器によるBNCTシステムが開発されたため、南東北グループでは病院併設施設として世界で初めて、このシステムを導入し、南東北BNCT研究センターを設立しました。
 手術や従来の放射線治療では治療の難しい進行がんや再発がん、浸潤性の強いがんなど、難治性がんに有効であることが期待されています。
 当BNCT研究センターでは、2016年より再発悪性脳腫瘍および再発頭頸部がん/進行頭頸部がんに対して臨床試験(治験)を開始し、2018年にすべての治験が終了しました。その結果を受けて、BNCT治療装置とBNCT用ホウ素薬剤が2020年3月に薬事承認され、頭頸部がんに対しては6月より保険適用されました。
 世界初の病院併設加速器ベースBNCTは臨床医療として確立した治療法となり、がん治療に画期的な変革をもたらすものと考えられます。
 この治療法が、難治性がんに苦しんでおられる多くの患者さんやご家族の皆様にとって大きな福音となるよう、今後もさらに基礎研究、臨床研究を進めて参ります。
 何卒、皆様のご協力、ご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い申し上げます。